【本】諦める力-勝てないのは努力が足りないからじゃない-

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いろんな人が紹介している、こちらの書籍を読んでみました。
400mハードルの銅メダリスト、為末大さんの本です。

自分は、勝てるフィールドにいるのか?

どうして為末氏は400mの選手なのか?ということが気になっていました。
私も昔陸上をやっていたのでわかるのですが、400mというのはいちばん難しい距離だと思います。100mほど全力でもダメで3000mよりも早く走らなくてはいけません。しかもハードル。障害付きなんて、頭のいい人しかできないと思います。

この本を読んで、納得しました。
理由は、100mでは勝てないと見切ったから。自分を勝てるフィールドに置くことで、負け試合をしないように、ということでした。

確かに、これを読んで、「自分が勝てるフィールド」という考え方をしたことがなかったです。
とにかく目の前にあること、与えられた役割をこなすことで精いっぱいの毎日。
今、転職活動をしていて自分の強みがわからない自分としてはもっと勝てる方向を考えてもいいのかも、と思えるようになりました。
もちろん、これが「楽している」とか「もっと努力しないと」という風にとらえる人もいるだろう、と書かれており、
実際に周囲がそう思ってもアドバイスは単なるアドバイス。誰も自分の人生に責任を取るわけではないので、自分の気持ちがしっかりとしていれば聞き流せるのだな、と思いました。

自分に合わない、をもっと受け入れてもいい

自分に合わなくても、努力を続ければきっとうまくいく、という保証がないことが分かった今、
この本の内容はすんなり受け入れることができたと思いました。

環境を変える、見方や考え方を変える、夢や理想を追わない。
一見するといい加減に聞こえるようにも思いますが、自分にとって何が一番幸せで大切なのか?ということをは人それぞれ違います。

たとえば、私の場合、コンサルティングファームではモノにならなかった。
やはり、ある程度の知識があってもコンサルタントになれないとわかったから。知識とスキルは違っていて、逆の立場になって教え、経験を積むということがやれなかったから。
あと1年やっていても結果は同じだろうな、と思いました。

しかし、これを見方を変えて・・・
事業会社に行って運営側になったり、マーケティング担当になったら?
事務や広報をもっと仕組み化し、社内でもっと喜ばれる存在になったら?
同じ知識を持っていても、使うフィールドが違っていたら、成功する確率は上がるかも? ということです。

転職活動でモヤモヤしていた気持ちが、少しだけ晴れたような気がします。
まだ自分にとっての得意分野をはっきりと言語化できるわけではないし、目の前にあることを何でもやりたいと思いますが、少なくとも「自社プロダクトを好きになれる」「自社ビジネスに賛同できる」という姿勢があることが大前提で動きたいと思います。

自分はこれができる、はきっとおこがましい

なんというか、「できる」ということに対しては、自分よりも上には上がいる、と思い、割り切ることかと。
とはいえ、何でもやっても、自分には向き不向きがあるので、なるべく早いうちに得意なことを見つけたいと思います。
自分のことがよくわからないうちから、分野を絞り込み可能性をせばめることの危うさも書かれていました。

最近人に言われたことで、印象的なことが2つありました。

  • やりたいことを考えるなんて、おこがましい。目の前にあることを粛々とこなすだけ。やりたくないことだけを決めればよい。
  • 得意分野がなにか、と考えるのはおこがましい。なんでもやればよい。やることがあるだけで幸せ。

確かに、そうだな、と思います。私は人に聞かれることでつらいのは、
「今までどんな事やってきたのか(専門的に)?」ということと、
「どんなことをやりたいのですか?」ということです。私はこの2つについて、いまだ明確な解を持っていません。

今回、私は環境を変えることを選択しましたが、これも為末氏は否定していません。陸上が不向きだと感じたら、サッカーに転向する道もある。

私は偶然にも(会社の存続年数は別として)事業のスタートアップを手掛けた経験が多いので、仕組みづくりは比較的やれると思っています。しかし、それが得意とは言えません。やはりとても手間がかかりますし、コスト度外視のところもあり経済的ではないし、評価されることが少ない。つまり、成果につながる確率は低いということ。成功体験は得にくいということ。
それではやりがいにはつながらないので、ひたすら走り続けて仕事の手が止まらないようにするだけです。
一区切りついて仕事の手が止まると、ものすごい不安感に駆り立てられます。

これまでの私の仕事は、立上げの担当が多い分、その後じっくり考えてやる機会を持つことはできませんでした。ここを深めていけたら、自分にはもっと視野の広い仕事ができるだろうというのは想像がつきます。

他人にまどわされず、自分で選ぶ

私は自分で判断する力が弱いと思います。なので、この話しは耳が痛い。
人に流されやすい、というか人に必要と言われることは頑張れるのだけど、というタイプです。

積み重ねと違って、「何をがんばるか」という選ぶ努力には、冷静に自分を見てだめなものはだめと切り捨てる作業がいる。

自分がどうなりたいかを理解し(選んで)、目標に向かって決めたことを積み重ねできるかどうか。自分のキャリアプラン、ライフプランを見据えて、頑張れることを見つけなくてはと思います。

今回、自分の転職活動中で自己分析を進める中、いくつか気づくことがありました。
都会の仕事は、会社でとても専門化されている。なので、職種を決めてアプローチをすることが必要。一方、地方の仕事は、一人のマンパワーでいくつもの仕事をかけ持つ必要がある。つまりマルチタスク。
私が今までやってきたのは、後者だった。だから、自分の得意分野というものがはっきりいってないので、どうなりたいか?という将来像がなかなか描けないのかも、と感じました。

ただ1つ、もしやりたいことを言えるとしたら、なにがしかの事業の成功の道筋をつけたい、ということ。これが、今の私にとっての唯一の成功体験かもしれず、それを小さな目標に細分化して1つずつ実現する仕事ができたら、というところまでは見えてきました。このあたりをもっと考えて深めていきたいです。

諦める、と字面をみるとマイナスイメージが先行しますが、見方を変えて「明らかにする」ことに目を向けようと思いました。