【本】なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?-3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策-

Posted by in 書籍

献本していただきました。前に勤めていた会社で、新著が出ました。
戦略(3C)パートをもとに、調査分析、SEO、リスティング広告、コンテンツ、デザインの5つの施策が紹介されています。
この記事が少し長くなるのは承知で、1つずつ自分が考えたことを記録していきたいと思います。

この本を読むに当たり、自分に課した課題

  • タイトルのとおり「なぜ戦略がないのか?」の答えが、この本を読んでわかるか?
  • 5つの施策の中で、自分(自社)にとって、何がいちばん足りないかがわかるか?
  • 初心者が読んだときに、どのくらい理解できるか?

>
金沢の書店でも並んでいました。

3Cは、一朝一夕では無理

この本は、すべての施策がこの第1部のパート「戦略」に深くかかわるものです。いきなり否定的にスタートしますが、3Cはすぐに成立するようなものではありません。なぜかというと、担当者には決定権がなく、代表者だけで決めると周りは付いてこず、社内だけを見ていては決して成立しないからです。これがすぐに成立するなら、どの会社もみんな、強みも面白みもないでしょう。

代表者は、今まででいちばん長く会社を見ています。
担当者は、代表者よりも現場に近い存在です。(現場にいる代表者も多いでしょうが、社長業は社員にはできませんので、差し引くと考えると。)
だからこそ、双方の意見の出しあいとすり合わせ、ブレストや合意形成が必要だと思います。自分自身も振り返ってみて、ここに時間をかけることができたら、一気に進むのになーと思うことは何度もありました。

3Cを成立させるには、自社の強みが分かること、それがお客様にとってメリットであることを両立しないといけません。この本にはそれがどういうことか、具体的に書いてあります。
ただし、このパートで具体的な3Cの作り方は書いていないと感じました。ここでは考え方を学び、後述の事例がそれを示しているからです。どういうことかを腹に落とし込んで、何度も書いて、ブラッシュアップをくり返すしかありません。
字面を読むと「こんなの簡単じゃん」と一度は思うはずです。しかし、これが両立するか?というのがとても難しい。そしてその強みは「言葉にすると実はシンプル」で「他社よりも圧倒的に勝てる」こと、「すぐにマネできないな」「人がいやがって、参入したくない」と思うことでないと生き残れないのです。マネできないというのは総じて、「面倒なこと」「細かいこと」「手間がかかること」です。
自社のこと、他社のこと、自社製品のこと、スタッフのこと、それを愛してくださるお客様のこと。全部を考えて出したメリットを絞り込む作業が必要です。3Cはそれを考えるフレームワーク。3Cを絞り込むには時間がかかるので、いつもの業務を捨てる覚悟をして次のビジネスを決めるつもりで作るのがいいと思います。

調査分析は、比較することだけじゃない

調査分析というと、競合分析を思いつく人も多いと思います。実際に私も前職のとき、競合分析のアシスタントをさせてもらいました。情報を集めることは楽しいですし、それを分析し判断する力もつきます。
しかし実際は「内を知って外を見る」です。社内でどういうことが強みで、どういうところが弱いのかをあぶりだす必要があります。だからこそ「うちはA社よりここが優れている」「C社のサービスのほうがうちよりコスパがいい」という判断ができるのです。

また、この章で「お客様インタビュー」について書かれていることもなるほどな、と感じました。コンテンツの章に来るかな?と思いましたが、競合調査をすることで浮かび上がる仮説をもとに、ヘビーユーザから正直な声をもらうというのがとてもしっくりとつながります。
競合調査はなにも価格比較だけでなく、コンテンツや商品の品質もきちんとおこなうことで、本当の強みが引き出されそれがウェブサイトのキービジュアルや全体イメージにつながるのだなーということを改めて感じました。

SEOは、ただ1つだけ行う!究極の絞り込み

私にとっていちばん読みやすかった文章が、このパートでした。
SEOは、表現するほどに胡散臭さが増すので、木村さんのすっきりとしたシンプルな施策がとてもいいと思いました。

なぜSEOが必要なのか?どのようにするのか?がきちんと順序立てて書かれてるので、初心者の方は他に浮気せず、この章のことだけをやれば十分だと思います。ただし、いちばん重要と本に書かれている「タイトルタグ」は、3C(第1章)をきちんと反映することで、強みとキーワードを分かりやすく盛り込むことができると思います。

また、検索時に目に入る部分なので、うそをつかずユーザに選んでもらえるようにわかりやすく表現することも必要です。3Cと同じように絞り込むことで、ターゲットにきちんとミートする対策がとれると思いました。
初心者が陥りやすいパーソナライズについても、触れてくれていたのが、私としてはよかった^^

これならまたやってみたい!リスティング広告

昔、現場にいたころ、リスティング広告がとても苦手でした。
理由は、中小企業に勤めていたため広告費の概念が乏しく、広告費の使い方が感覚的にわからないこと、自社商品で広告をどう出せば効果的かということがイマイチ分からないからです。
特に私の場合、ネットショップで販売していたものは耐久消費財で、どこにもない製品でした。そのため、一般的なキーワードで入札するよりも、実際にミートするのはニッチなキーワードになってしまい、結局「PPC使わなくてもいいんじゃない」となっていました。
数字を動かす勇気がなく、結局タイミングを逃し、成果が出ているのかわからず、夜眠れないこともありました・・・(泣)

この章を読むと、フォーカスされているのは「自動化」です。つまり、最適値になるようにアカウントが学習して、人手をかけなくてもいいのです。人間の記憶や記録間違いよりはAIに任せるのがいい、という代表例ですね。「運用をやめる」というのが印象的でした。
またこういった人件費があまりかからない方法であれば、トライアンドエラーがしやすくなります。リニューアル後の調査分析にはもってこいですね。リスティング広告はできていないところの分析が大事なので、自然検索よりも時間をかけずに方向性を定めるのにはいいと思います。

時間がかかるコンテンツだからこそ、量より質

昔は、ブログやメルマガなど、いろんなことをやるのが主流でした。ユーザとの接点をとにかく増やすためです。
しかし、私がゴンウェブコンサルティングに入ってから制作するコンテンツも絞り込むということを知りました。クライアントさんはやみくもにブログを書いたりはしていませんでした。

なぜかというと、コンバージョンに至るまでの流れに集中してほしいからです。
質が高いかわからないコンテンツに目移りするよりも、信頼コンテンツをきちんと読んで、確実に1品買っていただくほうが成果につながるから。そしてそういうコンテンツを制作するには時間も体力も必要だからです。
テキスト(文章)はその製品や会社をよくわかっている担当者が書くのが一番ですが、優秀なイラストレータやカメラマンはなかなか社内にはいません。外注することも適宜必要になります。必要なリソースを集中させるからこそ、たくさんの記事を量産するコストはばかになりません。更新頻度の高いところでなく、常にお客様に見せたいコンテンツはしっかりと作りこみをするのがいいでしょう。
こうすることで、何気なくやっている写真のトリミングや表現の仕方にハッとすることがあります。その具体的な内容を、ビジュアル付きで紹介してあります。

デザインは、ルール、ルール、ルール

私はデザイナーではないため、ここは自分の手をもっとも動かさない分野です。でも、デザインは私の今の仕事にとってもとても大事なものです。そのため、一生懸命読みました。
なぜデザインが重要か?それは目に見える部分なので、印象を決めるからです。さらに、デザインは操作性にも直結します。いくら良い製品を売っていたとしても、使いにくいサイトは二度と訪問しなくなります。
デザインのルールが違うと、とても操作性が悪くなり、自分が行きたいページに移動できなくなります。またそれがメンタル面ではとても負担になり、面倒に思ったりストレスを感じます。
そうなると、とにかく問い合わせが増えたり、離脱が多くなります。

デザインをさぼることは、結局運営する自分たちに跳ね返ってくるんです。

昔はすごく文字サイズが小さいウェブサイトが多くありましたが、今は文字が大きいほうが余白があり読みやすいです。それはネット回線が進化して、文字が大きく写真が多くてもページが少し長くなっても、通信に困らなくなったこともあります。デザイン全体も、それと同じように、写真やアイコンなど要素がリッチだからこそ、余白を十分にとることがかなり重要になりましたね。

いろんな「なんとなく」をきちんと文章とサンプルで説明してあります。
ルールを決めるのはデザインする自分自身です。そのルールは何度も見直し、最終的に決めた統一したルールをそのウェブサイトで使い続けること。私のようなディレクターは、それをデザイナーにきちんと指示することが使命。だからこそ、普段から違和感をきちんと感じ取り、どういったデザインが使いやすく見やすいのかを常に意識しなくてはと感じています。

私は、3つの課題を解決したか?

やっぱり、自分にとってもっともっと3Cを突き詰めて考えなくては、と感じました。
かなり頭も使うし、ストレスにもなるし、時間もないし、あきらめてしまいます。でもいつも意識することでそれを習慣化できれば、3Cが基本になります。

初心者の人がこの本を読んだら、まず迷ったときにこの本に立ち返ることです。
考え方の流れが合っているか?ぶれていないか?突き詰めているか?を読みながら自分の現場と比較して考えたらいいと思います。掲載されているサンプルはどれも強烈に感じますが、実際には自社の現場に「ころがっている」かもしれないことに気づいて強みにできないか?と考えて引き上げることからです。第三者の目になって、「これってお客様が見たらどう思うだろう」と冷静に考えてみると気づきがありそうです。

Amazonで購入⇒なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?― 3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策
楽天ブックスで購入⇒なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか? [ 権成俊 ]

出版セミナー開催のお知らせV

これを機に、金沢でのセミナー開催も決定しましたので、是非ご参加ください!

【金沢開催】「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?」出版記念セミナー – 2017年2月23日に、権 成俊氏(株式会社ゴンウェブコンサルティング代表取締役)ほか6名の共著で、 「なぜ、あなたのウェブには戦略が無いのか? 3Cで強化する5つのマーケティング施策」が出版されました。これを記念し、権氏を招いてセミナーおよび懇親会を開催いたします。http://eventon.jp/6115/